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旧広島市民球場の歴史と未来を守る会

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雲泥の差。

きょうの中国新聞「今を読む」に興味深い記事が掲載されていました。

市民討議会などの参加プロセスの評価や政策への市民参加を促す心理要因を研究している専門家からの広島市民球場跡地問題に対する提言、というか苦言。

南山大学総合政策学部専任講師の前田洋枝さんが書かれています。

この記事を読むと、いま広島市が跡地問題の計画立案プロセスで開催している「跡地委員会」のいい加減さ、幼稚さ、実効性の無さが浮き彫りになってきます。
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「提言」を要約してみましょう。

まず、決定の影響を受ける人々が、その決定のプロセスに参加する「民主主義」において、参加者が熟議する「討議」が重要との考え方が「討議デモクラシー」であるとして、ドイツのレンゲリッヒ市の例をとって説明しています。

市の中心部に30年放置されていた跡地を、プラーヌンクスツェレ(PZ)という方法で市民が検討した結果、建物を改築して市民ホールとして再生したケース。

具体的には…

◯参加者は市民台帳から無作為に抽出され、責任ある作業への対価ということで有償で参加
ひとつのPZは原則25人の市民で構成され、複数回開催される
◯プログラムは、中立的な独立機関が作成、運営する

なるほど民主的で合理的な手続きです。

PZは4日(回)開催。
その際、専門家や利害関係者(賛否両方)から情報が提供されます。

討論にあたっては下記のように、そのつど明確なテーマが決められていたようです。

1日目 将来の展望を討議
2日目 市の計画や住民からの提案を検討するとともに、現地を視察
3日目 歴史的な観点からの討議とともに、複数会派の議員から意見聴取
4日目 他地域で失敗した開発計画をサンプルに長所、短所を検討

これらの討議が熟議されたうえで「市民答申」をまとめています。
そしてその「市民答申」が固まった段階で専門家にアドバイスをもとめ、前記のホールを実現したというのです。

ここまで読まれたらおわかりとおもいます。
いま広島市が実施している「跡地委員会」は、この事例とはまったく正反対のことをしているのです。

参加者は広島市が恣意的に抽出し、責任ある議論の場とはしない
(しかも、利害関係者から情報を得るのではなく、当事者がほとんど利害関係者)
プログラムは広島市が一方的に作成、運営する

そして委員会は、行き当たりばったりの議論に終始し、その先のプログラムさえまだ決まっていないのが実情です。

これでまともな「答申」がでるわけもありません。
ドイツのレンゲリッヒ市が失敗例としたサンプルのひとつに加わるのは目に見えています。

そのことを一番認識しているのは、たぶん広島市でしょう。
いまのままでドイツのレンゲリッヒ市のような成功をおさめることは不可能。いまのような不毛の議論をつづけていて成果が得られるはずもありません。

それでもいいと広島市は考えているのでしょう。
解体さえしてしまえば、あとは野となれ山となれです。

あの広島市の将来にかかわる問題について、その自覚が行政にはないのでしょう。
そのことが一番の問題。悲しいかな、制度やプロセスを論じる前の段階なのです。

では、どうするべきなのか…。
ここはもう市民ひとりひとりが意見を表明し、みんなで議論し、できることをしていくしかないのでしょう。
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by shiminwomamoru | 2012-01-29 16:26 | 雑感
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